フードロスとは
どうやら、フードロスは世界的な食料・環境問題につながっていることがわかってきました。
食料をつくるための水や土地などを無駄遣いして引き起こしてしまう「資源枯渇」、食料をつくるところから加工・流通して処分するまでに発生する膨大な「経済損失」、そして余計なエネルギーを消費して排出される温室効果ガスのような「環境負荷」。
こうして毎年生産される食料の1/3が失われる一方で、世界では未だに8億人近い人々が飢えているという厳しい現実。これに対して、日本では、世界では、どのような取り組みがなされてきたのでしょうか。
2011年5月、国連食糧農業機関(FAO)が、初めて世界規模で起こっているフードロス問題について調査した報告書を発表しました。翌年2012年6月には、国連事務総長の潘基文氏がZero Hunger Challengeを宣言。5つの目標の一つとして、「責任ある消費を含め、食料ロスまたは廃棄をゼロとする」ことを掲げています。いまや、フードロスは世界中で取り組まなければいけない大きな問題なのです。
今や世界中の市民が立ち上がって行動している、フードロス対策。ドイツのスローフード・ネットワーク・ユース団体が提案し、瞬く間にヨーロッパ中に広がった「ディスコ・スープ」は、農場やスーパーマーケットから集めてきた廃棄寸前の食材を、DJ の流す音楽に乗りながらみんなで調理、食事するイベント。他にも、ニューヨークからサンフランシスコ、ロンドンにドイツ全域へと広がりをみせている「フードシェアリング」は、携帯アプリやウェブサイトを通じて食べ物をあげる人ともらう人をつなげる、現代版のおすそわけです。
世界でもいち早く、フードロス問題に取り組み出したヨーロッパでは、欧州議会が2014年を「ヨーロッパ反食品廃棄物(=フードロス)年」と位置づけて、フードロス対策に本腰を入れています。この年欧州委員会は、2025年までにフードロスを30%削減することを提案しました。
2014年5月には、イギリスの大手小売チェーンTesco(スーパーマーケット)が、自社で発生しているフードロス情報を公表。日本でも行政主導で、食品メーカーから小売までが集まって国内の商習慣を見直すワーキングチームが発足したり(2012年10月)、食品リサイクル法に基づく努力目標として「(フードロス)発生抑制の目標値」の導入が特定の業種を対象に促進されたり(2014年4月)、企業の取り組みが広がっています。
2015年フランスは、スーパーマーケットが慈善団体などの要請に応じ、賞味期限切れの売れ残り食品を寄付するよう義務付ける、通称「反フードロス法」を可決したことで話題になりました。これまでは、お店から廃棄される食品が再度流通しないようにと薬品をかけて処理することもありましたが、このような行為は禁じられます。