フードロスとは
フードロスとは、人が食べるためにつくられた食料が、失われたり捨てられたりしてしまうことを指します。食べ物は、生産されてから私たちの口の中に入って消費されるまで、農場や漁場、貯蔵施設、食品加工工場、スーパーやコンビニ、そしてレストランや家庭など、様々な場所を川を下るように旅していきますが(この流れを、経済の言葉でサプライチェーンといいます)、その途中で、まだ食べられるにも関わらず、様々な理由から失われたり、捨てられたりしてしまいます。
上の図を見ると、特に、川下の流通・消費段階で見聞きするフードロスが多いように感じませんか?事実、日本のフードロスのうち約半分が、消費段階、つまり家庭で発生していると言われています。この他にも、外食で食べ残しをしたり、お店で買い物をする時に(消費期限の遠い)新しい食品から購入したり、また形の悪い野菜(規格外野菜、ということも)を買うことに消極的になってしまったり・・・食べる人一人一人の行動や姿勢が、家庭の外でおこるフードロスに関係していることも少なくないのです。
フードロス・チャレンジプロジェクトが、マルチステークホルダーチームを組成しラーニングジャーニーを実施したレポートを公開します。
これは、生産農家〜加工メーカー〜流通〜そして飲食店やホテルや家庭を実際に巡りながら、フードロスが出る実態や生の声をその場に赴き見て聞いた旅の記録です。
企業、官公庁、NPO、生活者などの関連するステークホルダーのメンバーでチームを組成し、フードロスが生まれるシステム全体の理解を深めていきました。
このラーニングジャーニーの気づきと発見により、「繋がりと循環の感覚(誰かがしてくれていること、と、命を頂くことへの感謝)」「資源の有限性の感覚(食べ物を作るまでに使う資源、廃棄の社会コスト、格差の問題)」ということが、フードロスの解決のための根っこにあるという結論に行き着きました。そして、様々なアクションが生まれたのです。
このレポートは、これから、フードロスの問題に取り組む皆さんにとっても、いろいろな刺激や視点を与えてくれるのではないかと思います。どうぞ、ご活用ください。
COLUMN-1
2011年頃から研究が盛んになったフードロス。この新しい言葉の定義、実は国や地域で異なるのです。日本では行政を中心に、「食品ロス」(本来食べられるのに捨てられている食べ物)という言葉と定義を使うことが多いのですが、国連食糧農業機関(FAO)が世界の研究者や実践者と議論してとりまとめた最新(2015年1月時点)の定義では、
・食料ロス(food loss):食べ物の量的もしくは質的な価値が減少すること
・食料廃棄(food waste):食料ロスの一部で、特にまだ食べられるのに捨てられているもの
※量的減少は重量(kg)が、質的減少は栄養価や経済価値、食品安全性などが減ったり損なわれたりすることを意味する。
とされています。
食料ロスの中でも一部のものだけが「食料廃棄」として特別に分類されるのは、例えば食べ物の劣化が原因でやむを得ず捨てる「食料ロス」と異なり、まだ食べられるのにも関わらず、商慣習や、人々の価値観・経済観念などが原因で捨てている現状を、より良く理解するためです。例えば、食べ残しや賞味期限切れの食品などが「食料廃棄」にあたると考えられています。
またこのことから、「食料ロス」は生産や加工の段階(サプライチェーンの川上)で、「食料廃棄」は小売や消費の段階(川下)でおこることが多いと考えられています。
ただ、食料ロスと食料廃棄の分類は必ずしも明確ではなく、多くの場合は二つまとめて「食料ロスと廃棄(Food Loss and Waste / FLW)」と総称が使われるようです。
※このウェブサイトでは、【フードロス(=食品ロス)】のように注記がある場合を除き、【フードロス=食料ロスと廃棄の総称】の意味で表現しています。